2018年02月12日

昭和の香りのするイイ男「古平幸夫」

昭和の香りのするイイ男「古平幸夫」

 今回の「煉瓦堂」成功、最大の功労者はこの「古平」だろう。演じたのはコダ社長。
実は、最後の最後まで蓮河京介の親友古平の役作りで悩み続けていた。

 彼が“空素”の舞台に初めて立ったのは「R」だ。
地下街で暮らすミュージシャンと言う役を、長野でバンド活動をする彼に客演を依頼した。
この時はそんな関係だったのだが、それから1年を経た時、彼から「演劇をやってみたい」と、アプローチがあった。
そこで演じたのが、「we are earthling」の寿司屋だ。

 演劇、演技、俳優と言うのには、「癖になる」と言うのがある。
元々ミュージシャンも俳優も、表現者だということは共通する。もっと色々なことを表現したい。もっと色々な方法があるのではないか。
そこに入っていくのは自然なことだと思う。
そして彼は「新・SHOT GUN」で、ボディーガード古平を演じることになる。

 前置きが長くなってしまいました。
コダ社長は演劇素人です。まぁ、それはみんな同じか・・・
上手じゃないんです。
だからいつも上手くいかないことにぶつかっている。じれったくて、歯がゆくて仕方ないのは多分本人だと思う。
でも、それを必ず超えることが出来るということも、彼は知っていたんだと思う。
音楽もそうやってきたのだろう。

 あとはその時がいつ来るのか。そのタイミングを絶対に逃してはならないということ。
彼はそれを逃さなかった。飯山公演、「煉瓦堂」初演の3日前。
煉瓦と古平の回想シーンの練習中、中村祐子が号を煮やして代役を買って出たのだ。
20年ぶりに蓮河と再会した古平の役だ。
男と男の再会を、祐子と中村がそのシーン(20秒ほどだろう)を演じて見せた。
 古平のすべてが変わった瞬間だった。

 前々から言っていた。古平がラストシーンで涙を誘うのは、回想シーンじゃない。「認知症」のシーンだ。
その認知症のシーンまでも、全く変わってしまったのだ。
 そこからは何も言うことはなかった。「古平」にコダ社長がなった瞬間だ。

 ラストシーン。古平が聖子に手を引かれ去っていくシーン。
あの時の彼の表情は忘れられない。何度繰り返しても。
 公演の成功を確信した。

 演劇が何より面白いと思う理由がここにある。
車輪が地面から離れた。それを感じた時、それが「癖になる」理由なのだ。


 by icon06モンキリ王子

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この記事へのコメント
技術も経験も知識も無い奴が古平って人間を掴むのは、苦労もあったけど本当楽しい時間だったな~と思いますわ。
古平ってイイ男の人生を追体験出来るって感覚、これが演じることの面白さなんでしょうね。
古平の役を終えることは、一年間向き合ってきた親友と別れる感覚で少々寂しいですが、まぁまた違う人の人生を経験出来しようかと。
こんなカッコイイ人生(役)が二度とくるとは思えませんが(笑)。

思い起こせば8年前か!「R」のミュージシャン。
あの時の演技は酷かった(汗)

中村さんも少しは健康に気をつけて、一本でも多く脚本書いて下さいよ~。
Posted by コダ at 2018年02月14日 12:17
 役の深みって、俳優の人生から出ると思うんだよね。
演劇経験って始めた時からじゃなくて、年齢だって俺は思ってる。
もっとかっこいい大人になりたいって、俺は今も思ってるんだよね。
あんまり思い通りになってないけど。

 俺もポンコツロックンローラーさ。ウヒヒ・・・
Posted by モンキリ王子 at 2018年02月14日 23:44
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